厳格な医者の家庭の生まれ、家族構成は両親と弟の4人家族
中学受験に失敗し、以降両親から冷遇されている。高校受験で巻き返したものの、中・高とつつがなく進学した弟と比較され、事あるごとに否定されてきた
現役合格すれば何かが変わるかもしれない、という一縷の望みをかけた医大の合格発表の日、自身の合格を確認し、喜んだのも束の間、突如として展開した魔法陣に呑まれ、エリンに転移する
転移した先で出迎えた邪教徒の一団に、召喚に際し、現代日本での自身が存在した事実自体を抹消して召喚した、と聞かされ激怒。邪教徒を叩きのめし、制御不能の暴力装置として野に放たれる。その後、冒険者達により鎮圧される

弟について
人格良し、器量良し、能力良し。非の打ちどころのない好青年
親からのハードルの高さへの愚痴を溢しあう、学年違いながら予習復習と称して互いの勉強を見る、など、気のおけない仲だった
しかし、心の中では「全部成功して、愛されてるくせに」といった思いもあり、そんな自分に嫌悪感を抱いていた
また、偶々弟の友人が自分の中学受験失敗を話題に上げられたのを聞いてしまった際、「そこから高校受験で取り戻すまでどれだけ頑張ったかを見ていた事」「両親に辛く当たられながらもずっと仲良くしてくれる事」「躓いたところや実際に受験に挑んでの肌感を共有してくれることで自分はずっと楽に進ませてもらっている事」と言葉を尽くし訂正させており、自分の黒い内心との対比に劣等感を膨らませる事となった

怒りについて
失敗が尾を引き、ずっと冷遇される状況が辛かった
弟と比較され、否定され続ける日々が辛かった
それでも、医大に合格すれば。現役合格なら、何かが変わるかもしれない、と一縷の望みをかけて歩き続けてきた
同年代の子供達のような娯楽にも触れず、結果を出すためだけに全てを捧げて来た
医大の合格を確認して、止まった時が動き出すような感覚、やっと前に進めると思っていた所で
「存在ごとなかった事にして知りもしない異世界に呼び出された」
事故死の後に、それを認識した上でのものであれば、違ったかもしれない
娯楽に触れ、「異世界モノ」なんかを楽しんでいれば、違ったかもしれない
─────ほんの少し、遅ければ
合格を、両親に祝福して貰えていれば
あるいは、何も変わらなかったとしても、違ったかもしれない
けれど、そうはならなかった
長い、永い6年をかけて、掴み取ったはずだった幸福を
紙一重で奪い取られて、それがさも素晴らしい事かのようにしたり顔で語る奴らが、許せなかった

才能について
"魔王"として比類無き才能を誇った
負の感情に応じ、無尽蔵に瘴気を湧き上がらせ、現代インドア一般人程度の身体能力で高位の冒険者を圧倒する程の能力強化を実現できた
召喚は最も負の感情が高まる時を見計らって行われ、正しく扱えば"魔戦将"に互すると目されていたが、一切の手ほどきを受ける前に暴走しており、上位魔族として完成することは無かった
それでも、溢れる瘴気で魔族化は避け得ないはずだったが、皮肉にもあらゆる害を跳ね除ける魔王の力が、全てを拒絶する怒りが、魂を覆う障壁となり、侵食を拒んだ事で変異を免れた
暴走状態を打ち破られ、正気に戻った際に、以降の負担を防ぐために瘴気を湧出させる能力を切り離し、障壁が多重に包み込む形で装備品となっている
瘴気を受け入れ魔族化する事で更なる力を得る筈のところを抵抗し、瘴気湧出能力、障壁生成能力、耐瘴気性が大きく摩耗しており、湧出能力の切り離しも行っているため、能力の自由度、強度共に比較にならない程に弱体化している